揺れが収まった。部屋は静かで、外では車の警報音が鳴り、自分の呼吸だけが聞こえる。ここで誰も教えてくれない事実がある。地震そのものは終わったが、危険な時間はまだ終わっていないのだ。地震後の数時間に起きるけがの多くは、地面の揺れが原因ではない。ガス漏れ、火災、割れたガラスでの転倒、無理な片付け、そして余震が最悪のタイミングで襲ってくることが原因だ。
このガイドは「揺れている最中の行動」の続編である。地震直後の数分、数時間、そして数日間に必要なことを、実際に必要になる順番で解説する。
走り出してはいけない。本当に。地震後に最も多いけがは、ドアに向かって走り出し、落下物や割れたガラス、損傷した階段に突っ込むことによるものだ。まずは60秒待とう。
第一に、余震を想定すること。余震は数秒後に始まることもあり、本震で弱くなったものを倒すほど強い場合もある。揺れが完全に収まったと確信できるまで、身を守った場所に留まり、その後慎重に動こう。
第二に、自分、次に周囲の人の無事を確認する。頭、首、手足を素早くチェックしよう。重傷者がいる場合、火災や建物の倒壊など差し迫った危険がない限り動かしてはいけない。脊椎を損傷している人を動かすと、助かるけがが一生残る障害に変わることがある。動かさず、保温し、助けを呼ぼう。軽い切り傷や打撲には防災キットの応急用品が役に立つ。 Amazonで救急キットを見る →
1906年のサンフランシスコ地震では、揺れが建物を壊し、その後の火災が街を壊滅させた。1995年の阪神・淡路大震災では、数分のうちに100カ所以上で火災が発生した。ガス管は破裂し、種火は消え、ストーブは倒れ、電気のショートが火花を散らす。火災はあらゆる大地震に共通する最大の二次災害である。
安全に動けるようになったら、まず匂いを嗅ごう。ガスの匂い——硫黄のような卵の腐った匂い——がしたら、直ちに行動すること。
コンロの小さな火やゴミ箱の火など、明らかに小さく収まっている火なら、消火器があれば使ってもよい。ただし火が広がっているなら無理は禁物だ。外に出て、延焼を遅らせるためにドアを閉め、外から助けを呼ぼう。
切れた電線は、火花が出ていなくてもすべて「通電している」と考えよう。少なくとも10メートル離れ、電力会社に通報する。電線に触れている人や物には絶対に触れないこと。
家の中では、大型家電や電子機器のコンセントを抜いておく。復電時にはサージ(異常電圧)が発生しやすく、つないだままの機器が壊れることがある。復電が分かるよう、照明をひとつだけ点けたままにしておこう。被覆の剥がれた配線、火花、焦げた匂いを見つけたら、ブレーカーを落とす。ただし分電盤が濡れていないこと、水たまりに立たずに手が届くことが条件だ。
給湯器も確認しよう。転倒した給湯器はガス管と水道管を同時に破損させることがある。だからこそ転倒防止の固定が重要なのだ。水道管から水が漏れている場合は、元栓を閉める(通常は引き込み口付近か道路側のメーター付近)。自治体から「飲用注意」や煮沸の呼びかけが出たら、必ず従おう。地震で水道管にひびが入り、汚染が混入することがある。
万能の答えはないが、判断の目安は明確だ。直ちに避難すべきのは、ガスの匂いがする、制御できない火災がある、建物に構造的な損傷が見られる場合だ。壁を斜めに走るひび、目に見えて傾いた建物、家から離れかけた煙突、突然開かなくなったドアや窓(枠がずれている証拠)がサインである。
高層建築物から避難する場合は、階段を使う——エレベーターは絶対に使わないこと。エレベーターは階の途中で止まることがあり、シャフト自体も目に見えない損傷を受けている可能性がある。靴、携帯電話、鍵を持ち、手の届く範囲に非常用持ち出し袋があれば持って出る。忘れ物を取りに戻らないこと。
建物に異常がなく、避難指示も出ていない場合はその場に留まる方が安全だ。損傷した街を歩き回れば、落下物や割れたガラス、不安定な構造物にさらされる。ただし海岸近くにいて、長く強い揺れを感じた場合は別だ。公式の指示を待たず、直ちに高台へ移動しよう。津波は記者会見を待ってくれない。警報の意味については津波警報の仕組みの解説を参照してほしい。
安全が確認できたら、まず外からゆっくりと敷地を見て回る。基礎、煙突、外壁、家と地面の接合部を見る。室内では各部屋の新しいひび割れ(壁紙の細いひびは多くが表面的なものだが、壁や天井を走る幅の広いギザギザの斜めのひびは別だ)、天井のたわみ、水道管の破損、ずれた家電をチェックする。
構造的な損傷が大きい部屋には入らないこと。そして「見た目は大丈夫そう」だけで安全と判断しないこと。何かおかしいと感じたら(床の新たな傾き、固く閉ざされたドアなど)、中に入らず専門の調査を依頼しよう。大規模地震の後、多くの自治体が無料の応急危険度判定を実施している。
地震後の片付けで毎年何千人もの人が救急搬送されているが、そのほとんどは防げたものだ。ルールはシンプルである。
無理は禁物だ。片付けは数日がかりの仕事であり、疲労はそのまま不注意なけがにつながる。水分を取り、食事をし、休もう。
停電が続いている場合、冷蔵庫の時計は進んでいる。生肉、乳製品、調理済み食品などの要冷蔵品は、扉を開けなければ約4時間が目安だ。それを過ぎたら、迷ったら捨てること。数百円の食材を惜しんで食中毒になるのは、病院がひっ迫しているときには割に合わない。冷凍庫は長持ちする。閉めたままなら、詰まり具合にもよるが概ね24〜48時間は大丈夫だ。
水については、自治体から煮沸の呼びかけが出たら、少なくとも1分間(標高2,000メートル以上では3分間)の沸騰を続けよう。備蓄水——1人1日約4リットル——はまさにこのためにある。注意報の有無が不明な場合も、最初の数日はペットボトルか沸騰させた水を基本にするのが安全だ。
大地震の後、誰もが一斉に電話をかけるため、通信網は混雑する。テキストメッセージは音声通話よりはるかに帯域を使わないため、通話がつながらなくても届くことが多い。通話は短く、できれば控えよう。
被災地の外にいる人を「安否確認の中継役」に決め、家族全員がその1人に連絡する。現地の混雑した回線で5人が互いに連絡を取り合うより、被災地外の1人が「みんな無事」と伝える方がはるかに確実だ。SNSを使っているなら無事を投稿しよう。心配した人々からの着信の洪水が止まり、回線の混雑も和らぐ。
そして携帯の電池は徹底的に節約すること。画面を暗くし、アプリを閉じ、省電力モードにする。停電が数日続けば、携帯はラジオであり、地図であり、懐中電灯であり、命綱なのだ。 Amazonでモバイルバッテリーを見る →
ドアをノックして回ろう。特に高齢者、一人暮らしの人、移動に困難のある人だ。あらゆる大地震で、最初の救助のほとんどは専門家ではなく近所の人が行っている。公的な救助隊が動き出し、トリアージを始めるまでには数時間かかる。5分の声かけが命を救うことがある。
通りで協力し合えるなら——発電機の共有、食料の融通、家の見守り——積極的に参加しよう。災害は、近所付き合いを確実に深める数少ない出来事であり、協力する地域ほど回復が早い。ただし実務的に。チェーンソーを持っているのは誰か、薬の冷蔵が必要なのは誰か、動く車があるのは誰か、だ。
子どもはあなたの様子を見て感情を決める。あなたが落ち着いて淡々としていれば、子どもも大体は大丈夫だ。あなたがパニックになれば、子どももパニックになる。質問には正直に、短く答えよう。「地面が動いたから揺れたんだよ。もう安全だよ。次はこうするよ」——そしてできるだけ早く日常に戻すこと。いつもの食事、いつもの就寝時間。日常こそが恐怖への解毒剤だ。
年齢に合った片付けを手伝わせよう。役割があることで、無力感は主体性に変わる。怖くてどうにもならない体験の後に、子どもが必要としているのはまさにそれだ。
ペットはしばらく様子がおかしくなる——隠れる、べったりくっつく、餌を食べない、小さな物音に飛び上がる。これは正常で、やがて収まる。外では犬をリードにつなぐこと(フェンスが倒れているかもしれず、見慣れた道にも新たな危険がある)。猫は落ち着くまで室内飼いにし、迷子札やマイクロチップの登録情報が最新か確認しよう。余震で逃げ出すこともある。目に見えないけがにも注意。足を引きずる、体をすくめる、1日以上餌を食べない場合は動物病院へ。
防災チェックリストが教えてくれないことがある。大きな地震の後、数日から数週間、トラックが通るたびにビクッとしたり、眠れなかったり、理由もなく涙もろくなったりイライラしたり、入る部屋ごとについ天井を見上げたりすることがある。これは弱さではなく、正常なストレス反応だ。あなたの神経系は「地面」という最も堅いものが信用できないという説得力のあるデモンストレーションを受け、今まさに再調整している最中なのだ。
助けになるのは、話すこと、日常を保つこと、破滅的な映像の見過ぎをやめること(倒壊映像の繰り返し視聴は脳を緊急モードに留める)、体を動かすこと、できるだけ普通に眠ることだ。助けにならないのは、睡眠導入代わりの飲酒、引きこもり、「もう立ち直っていいはず」と自分を責めることだ。
不安や悪夢、侵入思考が1カ月以上続く場合や、仕事や人間関係に支障が出ている場合は、専門家に相談しよう。災害後のカウンセリングは一般的で効果的であり、恥ずかしいことではない。大規模災害の後、多くの地域で無料の支援が提供される。
避難した建物に戻るのは、公式に安全と発表されてからだ。「外から見た感じは大丈夫そう」では不十分だ。二次的なけがの多くは帰宅時に起きている。荷物を取りに不安定な建物に入るのはやめよう。
その後の数日間で、使ったものを補充する。水を足し、電池を替え、応急セットを補い、何が足りなかったかをメモする。地震は防災の無料査定だ。「あれがあれば」と思ったキットこそ、今作るべきキットである。防災キットのガイドが1つずつ解説している。
最後に、余震の見通しにも目を配ろう。余震は数日から数週間かけて減衰するが、数日後の大きな余震が本震で弱った構造物に追い打ちをかけることがある。専門家による評価が終わるまで、大きく損傷した建物には絶対に入らないこと。本震に耐えた建物が、その余震にも耐えるとは限らない。
地面はやがて落ち着く。片付けはいつか終わる。そして次に起きたとき——地震国に「次」は必ずある——あなたは揺れている最中の行動も、その後の1分1分にすべきことも、正確に知っているはずだ。